クイズで学ぶ 金融商品の5つのリスク
こんにちは、IHGsokenです。
前回に続き、今回もクイズで学んでいこうと思います!
まずは、5つのリスクの名前から!
価格リスク … 価格の上下によって資産が影響を受けるリスク
金利リスク … 金利の上昇によって債券の市場価格が下落するリスク
為替リスク … 為替レートの変動によって資産価値に影響を受けるリスク
信用リスク … 投資先(企業・国)がつぶれてしまい元本が返ってこないリスク
流動性リスク … 売りたいときにすぐに売れないリスク、売ろうとしたときに価格が変動するリスク
【保存版】【就活生向け】クイズで学ぶ「経済事象10原則」
こんにちは、IHGsokenです。 2008年から社会人を始めたのですが、「2008年」と言えば「リーマンショック」。 その年に私が読み感銘を受け、今でも時折読み返す本があります。
元日銀マンの木村剛氏の著作です。(2010年版ではなく2008年版を持っています)
- 作者:木村 剛
- メディア: 単行本
こちらに掲載されている経済事象10原則は経済を見る上での定石を教えてくれます。 金利、株価、物価、為替… これらの関係を復習しましょう!
穴埋め方式のクイズ形式にしましたので、 繰り返し挑戦して頭に入れておきましょう。
※この10原則にも相反しているものがあります。実際の経済事象の方が複雑だということです。 そのあたりも含めて考えられるようになると、経済ニュースを読んだ時の感度もぐっと上がるのではないでしょうか。
それでは、クイズスタート!!!
「経済事象10原則」
金利
第1原則
「景気がいい=高金利」
「景気が悪い=低金利」
第2原則
「おカネが少ない=高金利」
「おカネが多い=低金利」
株価
第1原則
「景気がいい=株高」
「景気が悪い=株安」
第2原則
「低金利=株高」
「高金利=株安」
物価
第1原則
「景気がいい=物価高」
「景気が悪い=物価安」
第2原則
「おカネが多い=物価高」
「おカネが少ない=物価安」
第3原則
「物価高=高金利」
「物価安=低金利」
為替
第1原則
「景気がいい=円高」
「景気が悪い=円安」
第2原則
「高金利=円高」
「低金利=円安」
第3原則
「物価安=円高」
「物価高=円安」
まとめて解答を確認したい場合は、以下をご覧くださいね。
「経済事象10原則」
金利 第1原則 「景気がいい=高金利」 「景気が悪い=低金利」
第2原則 「おカネが少ない=高金利」 「おカネが多い=低金利」 株価
第1原則 「景気がいい=株高」 「景気が悪い=株安」
物価
第1原則 「景気がいい=物価高」 「景気が悪い=物価安」
第2原則 「おカネが多い=物価高」 「おカネが少ない=物価安」
為替
第1原則 「景気がいい=円高」 「景気が悪い=円安」
第3原則 「物価安=円高」 「物価高=円安」
【就活生向け】就職希望企業ランキング企業分析 ~JAL vs ANA~
こんにちは、IHGsokenです。
新卒採用業務に携わった経験から今回は就活生向けに企業分析をしていきたいと思います。
就活の人気企業ランキングは複数社が発表していますので、一概に決まったランキングはないのですが、今回はキャリタスさんが発表されている「2021年卒の就活生が選ぶ人気企業とは?~就職希望企業ランキング:総合編~」を参考にさせていただきました!
https://job.career-tasu.jp/2021/guide/study/ranking/1_1.html
この中で見事5位、6位にランクインしましたJAL、ANAの2社を取り上げます。
まずは、BSの形から確認していきましょう!
同じ航空業界ということもあり、非常に似ている形をしています。
強いていうと、ANAの方が固定負債の割合が大きく、純資産、利益剰余金の割合が小さいということが言えるかと思います。
(JALは、2010年1月に経営破綻していますのでその影響が大きいかと思われます。)
続いて、2020年3月末からコロナ禍の影響がBSにどの程度出ているのかを見てみます。
まずは、JALから。
BSで最重要で確認していただきたいのが、「利益剰余金」です!
利益剰余金とは、企業が生み出した利益を積み立てたお金で、会社内部に蓄積されているものを指します。企業会計において貸借対照表の純資産の部に記載される、株主資本の一部です。
利益が増えれば利益剰余金は順調に増えますが、赤字決算が続くと利益剰余金は減少し、いずれマイナスに陥ります。利益剰余金が少ないということは、利益の蓄積が少なくなっていることを意味し、それだけ経営状況が厳しいと判断されます。
(SMBC日興証券「初めてでもわかりやすい用語集」より引用)
( 利益剰余金が減っていき、公募増資で補うということも過去の企業では少なくありませんでした。)
今年の3月時点で6,454億円あった利益剰余金が6月末時点で5,514億円まで減少しています…。3か月間で▲940億円の減少です…。毎月313億円減っているということです。このペースでいくと17ヶ月ちょっとで利益剰余金がマイナスになってしまいます。
利益剰余金がマイナスになるということは、業績が悪化していることを意味します。業績悪化が続けば蓄積してきた利益剰余金が取り崩されていき、いずれは底をつきマイナスになるのです。
ただ、利益剰余金がマイナス=債務超過ではありません。債務超過とは純資産の合計額がマイナスに陥ってしまった状態です。
利益剰余金のマイナスが積み上がり、資産の他の項目にまで影響を及ぼすようなると債務超過になる可能性があります。
https://meetsmore.com/services/tax-accountant/media/48988#i-3
この状況はANAも同じです。
ANAも、3月末時点で5,508億円あった利益剰余金が、6月末には4,409億円に1,000億円以上減少しています。こちらは毎月▲366億円のスピードで利益剰余金が減少しています。12ヶ月でマイナスになりかねません…。
では、なぜ利益剰余金が減少してしまうかというと、
経営成績が赤字であった場合の当期純損失を計上した場合、利益剰余金の減少となります。
このまま、コロナ禍の影響で、純損失を計上し続けた場合、利益剰余金のマイナスになりかねないということです。
【IRの視点】高島屋(8233、2月決算)丸井グループ(8252、3月決算)の本質的なちがい
こんにちは、IHGsokenです。
https://www.finasee.jp/column/2982/
今回はこちらの記事を読んで、改めて百貨店業界について振り返ってみようと思います。
まず、業界の概況から見てみます。
コンビニはスーパーに肉薄し、ドラッグストアは百貨店を抜き、ECの伸びは別格(物販では10兆円) ということが改めてみて取れます。
百貨店業界において、色のある会社といえば、やはり丸井グループ(8252、3月決算)。クレジットカード事業に早くから参入し、金融事業でも稼いでいます。
そこで、今日は、高島屋(8233、2月決算)と丸井グループの違いをB/Sから見てみます。
まずは、2020年2/3月期の数値をもとに貸借対照表、通称BSを作成いたしました!
少し字が小さく見ずらい部分はご容赦ください…。。。
まず、財務諸表を読むときは膨大な数字に惑わされることなく、まずは森を見る!「木を見て森を見ず」になってはいけません。
そこで、この2社のちがいは何かと言えば、流動資産と固定資産のバランスが違うということです!
ここで、流動資産ってなんだっけ?固定資産に含まれる科目は何だったかな?と調べることも大事なのですが、調べていくうちに本質を見失ってしまうこともあります。
今回知りたいのは、金融事業で稼いでいる丸井グループと金融事業に参入したての高島屋では何が違うのか?その違いはBSにどう表れるかという一点に集中するべきなのです。
では、数値で確認してみると、「流動資産」:「固定資産」のバランスは、
高島屋:「流動資産」/「固定資産」=287,764 / 880,739=32%
丸井グループ:「流動資産」/「固定資産」=626,766 / 259,202=241%
実に8倍もちがいます!!!
ここにいたって初めて、両社の流動資産の内訳や固定資産の中身を精査していきます。
実は金融事業を持つ事業会社はたくさんあります。
それらのBSを手書きでも結構ですので、せっせと描くと、ある共通点が分かります。
それは、売上の大きさに対して、BSが大きくなるということです。
ある意味それは当然です。金融業とは、お金を融通すること。
資金を借入等で調達していく過程でBSが大きくなります。この辺りについても、具体的な会社で分析していくと財務分析が無味乾燥な数字いじりではなく、会社の中で働くひとの息遣いまでも想像できるものに変わっていきます。
それでは、お疲れ様です!
証券アナリストの視点で「年金の2000万円不足問題」をわかりやすく読む(3/3)
こんにちは、IHGsokenです。
年金2,000万円不足問題についての最終記事です!
前回の分はこちらです。
ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々
一億総中流の終焉です。
大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め上げ、退職後は退職金と年金で収入を賄い、三世帯同居で老後生活を営む、というこれまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんどあてはまらない
ここでは、かつてジェームズ・C.アベグレンが『日本の経営』(1958年)の中で指摘した日本的経営の特徴「終身雇用」、「年功序列」、「企業内組合」がすでに終焉していることを確認しております。
近年単身世帯の増加は著しい
今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要がある
こちらでは、自助努力の必要性を再確認しています。
また、第3章「考えられる対応」では、
長寿化が進む中、資産形成・管理において、資産寿命を延ばす観点から、広く国民が知っておくことが望ましい事項があると考えられる
として、現役期・リタイヤ期前後・高齢期に分けて必要と考えられる対応策を提示しています。
例えば、現役期については、
長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期
とし、再度、長期・積立・分散投資を推奨し、「資産形成の有効性の認識」、「資産形成」の実践、「ライフプラン」の検討などを提案しています。
後半は、金融機関に向けて金融サービスのあり方や、制度面でのバックアップとしての環境整備を提案しています。
その中でも、やはり「つみたてNISA」、「iDeCo」についてページが割かれております。
つみたてNISAとは?
つみたてNISA は年間 40 万円までの積立投資について運用益が非課税(2037 年までの時限措置)であり、手数料等が安い公募株式投資信託商品などに限定されている。20 歳以上の国内居住者であれば誰でも利用でき、その資産はいつでも引き出し可能
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?
iDeCo は、掛金の上限は年間 14.4万円~81.6 万円であり、運用益は課税停止中であることに加え、掛金も全額所得控除、年金受給時も一定の税優遇がある。商品は各金融機関等により異なるが、国内外の株式・債券や投資信託など幅広く取り扱う。加入可能年齢は 20 歳から 60 歳までとなっており、その資産は年金という制度趣旨に鑑み、60 歳になるまで中途引き出しは原則不可
使う方からすると、
★ライフイベントに応じて引出すことが可能なつみたて NISA
★年金制度として所得控除が認められている iDeCo
といった点が大きな違いかと思います。
ただし、まだまだ普及には時間がかかりそうです…。
つみたて NISA と iDeCo の両制度ともまずは順調に利用者が増加している
ものの、その利用は国民の一部に留まっている
iDeCo についても、長寿化を踏まえ、拠出可能年齢の上限を引き上げるこ
と
拠出可能年齢が引き上げられた際は、今まで年齢的に利用できなかった方にも紹介していきたいと思います。
金融リテラシーの向上
アドバイザーの充実
といった内容について書かれて、最後に結びとして、
この報告書が契機の一つとなり、幅広い主体に課題認識等が共有され、各々が「自分ごと」として本テーマを精力的に議論することを期待している
以上が、「年金の2,000万円不足問題」として議論を呼んだ報告書の中身でした!
実際に読んでみると、不安をあおる内容でもなく、現実を直視し、しっかりと将来に備えましょうという大変役立つ内容となっております。改めて、原本をご一読されることをお勧めいたします。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
証券アナリストの視点で「年金の2000万円不足問題」をわかりやすく読む(2/3)
こんにちは、IHGsokenです。
前回からの続きで、「年金の2,000万円不足問題」を読んでいこうと思います!
2.基本的な視点及び考え方
長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
このあたりに批判が集まる原因ともなった根本があるようです…
しかし、実際に原本を読んでみますと、特別おかしなことは書かれておらず至極まっとうな内容となっております。
そして、ここでコラム的に【長期・積立・分散投資の有効性】について語られます。
投資をする際には、リスクとリターンで考える必要があります。
リスクとは、値動きのブレですが、なかなかピンとこないことが多いのも事実です。
リスクをコントロールする手法として有効なのが、「長期・積立・分散」投資なのです。
「長期・積立・分散」投資が有効なのはなぜ?
なぜ、この手法が有効かと言えば、積立投資はバリュー投資を実践していると言えるからです。
バリュー投資とは?
辞書的な説明では、「現在の株価がその企業の利益水準や資産価値などから判断して割安にあると考えられる銘柄を買い付ける手法」と言えます。
簡単にいうと、ある「価値」を基準に、「価値」を下回る「価格」であれば安いと判断し、購入するという考え・投資哲学です。
しかし、投資に精通しているプロでも難しい価値をどう見極めることが出来るのでしょう?
資産価値が分からなければバリュー投資はできないかというと、そうではないのです。
例えば、毎月決まった金額を購入するケースを考えてみましょう。
資産価値が分からなくても、「価格」が安い時には、たくさん買うことが出来ます。また反対に「価格」が高くなっていたとしても、買う量は少なくなります。つまり、安いときにたくさん買え、高い時は少なくしか買わないという投資行動に結びつくのです。
つまり、「積立投資」という投資行動を通じて、「バリュー投資」という投資哲学を実践できるのです。
グロース投資とは?
つづいて、「長期」と「分散」について考えてみます。
資産の価格は長期的には「価値」に収斂していくと考えられます。ですので、長期的に見て、資産価値の成長するものに投資する必要はあるわけです。いかに、積立投資を実践しても、長期的に価値の減ってしまうものに投資をしていては、当然資産は目減りしてしまいます。
グロース投資とは?
「今後の成長性を評価して投資するというスタンス」
では、資産価値が長期的に成長するものは何でしょう?
ある業界ですとか分野に精通されている方で、その分野における長期的な予測に自信を持っている場合はそういった分野に投資をすることも一理ありますし、ご自身の納得感も高いと思います。
しかし、そういった知見がまだ少ない場合も多いと思います。その際、私がお勧めしているものは、10年以上伸び続けているもので、今後も10年・20年といったスパンで成長し続けそうな分野に投資をすることです。
その一つが世界全体のGDPです。個々の企業では業績にばらつきもあります。短期間で利益を求める投資の魅力も当然あります。(私自身、日計りで利益を上げたときの喜びはひとしおです。)しかし、老後の資金として考えた場合は、世界全体に投資をしてみるということが一つの答えになるかと思います。
世界全体に「分散」投資をすれば、「長期」的に世界全体の成長の恩恵にあずかれます。これは、まさにグロース投資の哲学と一致するのです。
以上から、「長期・積立・分散」投資は推奨されているのです。
次回に続きます。