IHGsokenの日記

中小企業診断士 兼 証券アナリスト による財務分析よりも手前の基本的な疑問点について考える

証券アナリストの視点で「年金の2000万円不足問題」をわかりやすく読む(3/3)

こんにちは、IHGsokenです。

年金2,000万円不足問題についての最終記事です!

前回の分はこちらです。

 

ihgsoken.hatenablog.com

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ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々

一億総中流の終焉です。

大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め上げ、退職後は退職金と年金で収入を賄い、三世帯同居で老後生活を営む、というこれまでの標準的なライフプランというものは多くの者にとって今後はほとんどあてはまらない

 

ここでは、かつてジェームズ・C.アベグレンが『日本の経営』(1958年)の中で指摘した日本的経営の特徴「終身雇用」、「年功序列」、「企業内組合」がすでに終焉していることを確認しております。

 

近年単身世帯の増加は著しい

 今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実を行っていく必要がある

 こちらでは、自助努力の必要性を再確認しています。

 

また、第3章「考えられる対応」では、

長寿化が進む中、資産形成・管理において、資産寿命を延ばす観点から、広く国民が知っておくことが望ましい事項があると考えられる

として、現役期・リタイヤ期前後・高齢期に分けて必要と考えられる対応策を提示しています。

例えば、現役期については、

長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期

とし、再度、長期・積立・分散投資を推奨し、「資産形成の有効性の認識」、「資産形成」の実践、「ライフプラン」の検討などを提案しています。

 

後半は、金融機関に向けて金融サービスのあり方や、制度面でのバックアップとしての環境整備を提案しています。

その中でも、やはり「つみたてNISA」、「iDeCo」についてページが割かれております。

つみたてNISAとは?

つみたてNISA は年間 40 万円までの積立投資について運用益が非課税(2037 年までの時限措置)であり、手数料等が安い公募株式投資信託商品などに限定されている。20 歳以上の国内居住者であれば誰でも利用でき、その資産はいつでも引き出し可能

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?

 iDeCo は、掛金の上限は年間 14.4万円~81.6 万円であり、運用益は課税停止中であることに加え、掛金も全額所得控除、年金受給時も一定の税優遇がある。商品は各金融機関等により異なるが、国内外の株式・債券や投資信託など幅広く取り扱う。加入可能年齢は 20 歳から 60 歳までとなっており、その資産は年金という制度趣旨に鑑み、60 歳になるまで中途引き出しは原則不可

 

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iDeCoとつみたてNISAの比較

使う方からすると、

★ライフイベントに応じて引出すことが可能なつみたて NISA

★年金制度として所得控除が認められている iDeCo

といった点が大きな違いかと思います。

 

ただし、まだまだ普及には時間がかかりそうです…。

つみたて NISA と iDeCo の両制度ともまずは順調に利用者が増加している
ものの、その利用は国民の一部に留まっている

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iDeCoの利用者はわずか1.6%…個人的には絶対やるべき!

 iDeCo についても、長寿化を踏まえ、拠出可能年齢の上限を引き上げるこ

 拠出可能年齢が引き上げられた際は、今まで年齢的に利用できなかった方にも紹介していきたいと思います。

金融リテラシーの向上

 アドバイザーの充実

 といった内容について書かれて、最後に結びとして、

 この報告書が契機の一つとなり、幅広い主体に課題認識等が共有され、各々が「自分ごと」として本テーマを精力的に議論することを期待している

 

以上が、「年金の2,000万円不足問題」として議論を呼んだ報告書の中身でした!

実際に読んでみると、不安をあおる内容でもなく、現実を直視し、しっかりと将来に備えましょうという大変役立つ内容となっております。改めて、原本をご一読されることをお勧めいたします。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf