IHGsokenの日記

中小企業診断士 兼 証券アナリスト による財務分析よりも手前の基本的な疑問点について考える

【IRの視点】マルハニチロvs日水(2) ~決算説明会資料をよむ~

こんにちは、IHGsokenです。

 

ihgsoken.hatenablog.com

 前回の記事に引き続き、

【日水(1332)】

https://www.nissui.co.jp/ir/ir_library/result_2019.html

カタカナの「ニッスイ」の方が馴染みがある人も多いのではないでしょうか?

「商品情報」

「レシピ」
ニッスイいいね!」
サステナビリティ
「企業・IR情報」

「企業・IR情報」から、「決算短信・決算説明会資料」を選択すると、

年度別のIR資料に到達できます。

 

2020年5月22日に電話での説明会が開催された模様で、

・決算説明会配布資料(PDF) 3.3MB
・決算説明電話会議 音声配信
・Q&A要旨(HTML)

の3つがDL可能となっております。

お問合せ先には、「経営企画IR部経営企画IR課」との記載があります。

各社によってIRを担当する部署名はまさに千差万別。

一瞬「経営企画部IR課」と思いきや、「経営企画IR部」というのは初見でありました。

 

総ページ36ページと早速ブログ史上最長スライド記録を更新されました!

(しかし、まだ4社目でありますので、今後100ページ、200ページ級の猛者に出会えることを期待します。。。)

 

36ページと最長記録保持スライドだけあってか、シンプルながら「目次」が

付されております。

また、フォントも定番の「ゴシック」ではなく恐らく「メイリオ」でしょうか。

 

1.2020年3月期決算概況 ・・・P 3
2.2021年3月期計画 ・・・P17
参考資料 ・・・P32

 

各スライドごとに判りやすいタイトル付と、

簡潔なまとめがあります。いわるゆ「内容見出し」がしっかりと実現されている

お手本のようなスライドであります。決して奇をてらった派手さではなく、

落ち着いた中にも、読む者への配慮と温かみを感じます。(私だけでしょうか…)

 

1.2020年3月期決算概況

・2020年3月期 サマリー

・2020年3月期 セグメント別概況

・主な営業利益増減要因

連結貸借対照表(前期末比)

・連結キャッシュ・フロー(前期比)

・水産事業 売上高・営業利益(前期比)

・水産事業 売上高・営業利益(前期比)

・南米鮭鱒養殖 利益構造について

・食品事業 売上高・営業利益(前期比)

・食品事業 売上高・営業利益(前期比)

・ファインケミカル事業 売上高・営業利益(前期比)

・物流事業 売上高・営業利益(前期比)

・その他事業 売上高・営業利益(前期比)

2.2021年3月期計画

・2021年3月期 計画

新型コロナウイルスの影響について ①

新型コロナウイルスの影響について ② 水産市況の動向

新型コロナウイルスの影響について ③

新型コロナウイルスの影響について ④

・2021年3月期計画 南米鮭鱒養殖事業減益要因について

・今後の取組み:海外展開

・今後の取組み:海外展開

・今後の取組み:ひとつ上のステージに向けた取組み

・今後の取組み:ライフスタイルの変化に対応

・今後の取組み:CSR活動

・配当について

・業績推移

・【参考】 連結損益計算書(前期比)

・【参考】 為替換算による影響額(売上高)、為替レート

・【参考】 セグメントマトリックス 売上高(前期比)

・【参考】 セグメントマトリックス 営業利益(前期比)

・見通しに関する注意事項

 

新型コロナウイルスの影響について」と題したページだけでも4ページもあり、

こちらのスライドだけでもコロナウイルスの食品業界への影響の理解に役立ちます。

【IRの視点】マルハニチロvs日水(1) ~決算説明会資料をよむ~

こんにちは、IHGsokenです。

今回は、前回に引き続き「決算説明会資料」を内容の数値というよりは、

主に体裁面にフォーカスを当てて見ていこうと思います。

 

ゆくゆくは、日経225銘柄全社の、決算説明会資料について、作成担当部署、ページ数、フォントなどを分類し、適切な切り口でプロットしていきたいと思います。

投資家との対話が重要になってくるIPOを目指している企業にも参考になるような分析結果が生まれることを微かに期待しつつ…。

 

マルハニチロ(1333)】

https://www.maruha-nichiro.co.jp/corporate/ir/library/presentation.html

まず、会社HPのトップページには「IR」の文字が見当たらず、

「企業情報」を押すと「IR情報」が出てまいります。

IRページ自体はオーソドックスなつくりとなっております。

(私自身、IRサイト作成に携わらせていただいたことがありますが、

IRページはオーソドックスに作られがちです。)

決算説明会の様子も動画でアップされている点は好感が持てます。

最近は、動画をアップされている企業も多いと思います。

(社長・財務担当役員の発言を一字一句漏らさぬようにタイピングされる

ファンドマネージャーの付き人らしき見習いアナリストの光景もそのうち

見なくなるのでしょうか。。)

 

スライドの資料は2種類。

「2020年3月期 連結決算~2021年3月期に向けて~」

こちらは、代表取締役社長 池見 賢氏の発表用資料。表紙等入れて全17ページ。

1-1. 2020年3月期実績

1-2. 漁業・養殖ユニット

1-3.水産商事ユニット、荷受ユニット

1-4. 北米ユニット

2-1. 漁業・養殖セグメント 今後の取り組み

2-2.商事セグメント 今後の取り組み

2-3. 海外セグメント 今後の取り組み

2-4.加工セグメント 今後の取り組み

2-5.物流セグメント 今後の取り組み

3. 2020年9月期計画

4. 2020年9月期計画ユニット別

5.グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」

 

「2020年3月期連結決算 セグメント別損益及び貸借対照表説明」

常務執行役員 武田 信一郎氏の発表用資料。表紙等入れて全11ページ。

1.連結損益計算書

2.セグメント別 売上高/営業利益

3-①.漁業・養殖セグメント

3-②.商事セグメント

3-③.海外セグメント

3-④.加工セグメント

3-⑤.物流セグメント

4.連結貸借対照表

 

どちらも背景は基本的に白地。フォントも馴染み深いゴシック。

 

 ただし、グラフについてはなぜか若干フォントが異なっております。

おそらく使用しているExcelのバージョンが更新されたのかと思われます。

または、担当している部署が異なっているのかもしれません。

「今後の取り組み」については、文字でのベタ打ちとなっております。

やや、イメージがしづらいかもしれません。

 

(次回に続きます。)

 

【IRの視点】トヨタvs日産 決算説明会資料を読んでみた(20/3期)

こんにちは、IHGsokenです。

 

「金融機関でのいくつかの業務経験と

事業会社でのIR業務やライフプランセミナー講師経験から

上場企業(みんなが株を買える)はどう自社をアピールするといいのかということを

考え続けておりました。

 

・資本政策はどうするのか?

・配当性向を何%にするべきか?

 

などなど経営陣からの問い合わせには正解はなく、

かといって直観に頼るだけでは、投資家との対話のためにも、

理論的背景について十分に理解しておかないと、

共通の言語で話し合うことができません。

 

いつの日かあるべきIRと投資家の関係性も考えてみたいと思いますが…。」

 

今回は、「決算説明会資料」に注目してみたいと思います。

有価証券報告書」でも「決算短信」でもなく「決算説明会資料」。

 

「決算説明会資料」は発表する側の自由度が高いため、各社の色がより出るのではないか?という思いつきから始めてみようと思います。

 

ですので、厳密な決算数値を用いた財務分析等ではなく、

・何ページあるのかな?

・どんなフォントを使っているのかな?

といった角度からの決算分析です…。。。

 

トヨタ自動車(7203)】

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/32486196.html

売上高国内最大の自動車メーカー。

2020年3月期決算を2020年5月12日(火)に発表されております。

白地のシンプルなPowerPointスライドにシンプルなゴシック体。

ページ数はわずか22ページ。

しかし、IRサイトは充実しており、豊田章男社長のメッセージも動画で視聴可能です。

 

タイトル「2020年3月期 決算説明会」

・連結販売台数(895万8千台)

・連結決算要約

・連結営業利益増減要因

・所在地別営業利益

・中国事業/金融セグメント(←金融セグメントだけで3,097億円も営業利益が!)

・株主還元:配当金(←配当性向は意外にも29.9%とそこまでは高くない)

・株主還元:自己株式取得

2021年3月期 見通し(IFRS)

・前提台数(連結販売)(←895万台から700万台に減少…)

・連結決算見通し要約(←29兆円から24兆円に減収…)

・連結営業利益見通し増減要因

・(ご参考)連結販売台数 (3ヶ月)(コロナ影響・連結販売台数 △127千台)

・(ご参考)連結決算要約(3ヶ月)(コロナ影響・売上高 △3,800億円・営業利益 △1,600億円)

・(ご参考)連結営業利益増減要因 (3ヶ月)

・(ご参考)所在地別営業利益 (3ヶ月)

・(ご参考)中国事業/金融セグメント (3ヶ月)

・(ご参考)業績推移

・(ご参考)前提台数

・(ご参考)販売台数について

 

続いて、日産自動車をみてみる!

日産自動車(7201)】

https://www.nissan-global.com/JP/IR/LIBRARY/FINANCIAL/2019/

証券コードの下2桁が「01」のいわゆるゼロイチ銘柄。

こちらは、トヨタよりも少し多い26ページ。

 

タイトル「2019年度 決算報告」

・2019年度 販売実績

・2019年度 主要財務指標

・2019年度 財務実績

・2019年度 財務実績(←営業利益の増減分析グラフ)

・2019年度 財務実績(←営業利益の増減分析グラフ)

構造改革費用及び減損損失

流動性の状況

・2020年度 業績見通し

参考資料

・販売金融

・販売金融(ペネトレーション)

・販売金融(ネット・クレジットロスレシオ)

・販売記入(営業利益・資産)

・2019年度 販売実績

・2019年度第4四半期(3ヵ月) 販売実績

・2019年度第4四半期(3ヵ月) 主要財務指標

・2019年度第4四半期(3ヵ月) 財務実績

・2019年度第4四半期(3ヵ月) 財務実績(←営業利益の増減分析グラフ)

・2019年度 財務実績

・2019年度第4四半期(3ヵ月) 財務実績

・2019年度 財務実績(←FCF分析)

・2019年度 財務実績(←FCF分析)

・在庫管理

・事業セグメント別ネットキャッシュ

 

どちらの方が見やすいか伝わっているかというのは中々難しい判断となりそうですが、

セクター担当のアナリストの方は比較する数字を調整するのにも

大変な労力を割ているのではないでしょうか。